【個人事業主・フリーランス】フリーランスの楽な売上集計方法
フリーランス(業務受託型のビジネス)の楽な売上集計方法
目次
フリーランスビジネスの売上集計
たいていのフリーランスの方の事業は、業務受託型の人的役務提供ビジネスに該当するかと思います。例えば、Webサイトの制作請負や、アプリ開発、ライター、各種コンサルティングなどが該当します。
このような事業を行っている個人の方向けの楽な売上処理方法を考えていきたいと思います。
税務上の売上の計上すべき時期
まずは、税務上あるべき処理方法を確認します。
個人所得税の事業所得の売上計上時期は、その売上の種類ごとに所得税基本通達に定めがあります。法人と少し違う点があるので、経理の経験がある方はご注意ください。
請負以外の売上(顧問料や定期的なコンサルの提供など)
(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
国税庁HP:所得税基本通達[収入金額の収入すべき時期]
36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。)
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
請負以外の人的役務提供の場合、原則として、役務提供が完了した日が売上の計上日となります。
ただし、月額定額で必ず支払われるような売上(たとえば士業の顧問業務、コンサルティングサービスなど)は、入金日ベースで売上を計上すべきとされています。
売上が、顧問料のような月額定額報酬のみである場合には、売上の計上は入金日で計上すれば足りるので、とても簡単です。
クラウド会計ソフトを利用している場合には、売上が入金される口座を連携して、入金をそのまま売上として計上すれば、それでOKです。
仕訳サンプル(請負以外の役務提供) 役務提供期間終了日(=売上日) (売掛金) XXX 円 / (売上) XXX 円 入金日 (預金) XXX 円 / (売掛金) XXX 円
仕訳サンプル(顧問料、月額定額コンサルサービスなど) 入金日(=売上日) (預金) XXX 円 / (売上) XXX 円
請負による売上
(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
国税庁HP:所得税基本通達[収入金額の収入すべき時期]
36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。)
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
請負契約の場合には、成果物の引き渡し日(成果物がない場合には完了日)が売上の計上日となります。したがって、売上計上日は入金日とは異なります。
請負では、仕事の完成をもって報酬請求権が発生すると考えるため、仕事の完成したタイミングで売上を計上することとなります。
仕訳サンプル 売上日(=仕事の完成日) (売掛金) XXX円 / (売上) XXX円 入金日 (預金) XXX円 / (売掛金) XXX円
売上の計上を請求書の発行と関連させて考える
請負の場合のように、売上日と入金日がずれる場合には、売上の仕訳と入金の仕訳をそれぞれ会計ソフトに入力する必要があります。この手間を省略することを考えましょう。
また、月額定額の料金について請求書を発行している場合、毎度エクセルで請求書を作成して送付する手間を省略することも考えてみましょう。
手間を減らすにはクラウド請求書サービスを利用する
入金の仕訳は会計ソフトと連携した預金のデータから仕訳を起こせばよいですが、売上の仕訳は別に作成する必要があります。
ただ手打ちするのでもよいのですが、請負の場合には請求書を作成すると思うので、請求書の作成と同時に仕訳が計上されるサービスを使えば効率的ですし、下記の点で管理が簡単になります。
- 定期的に同じ請求書を発行する場合に自動で発行できる。
- 見積書や請求書を通し番号で管理でき、仕訳と自動で紐づけできる。
- 作成完了と同時にメール等で得意先に送付することができPDF化等の手間がない
- 紙面の請求書の発行・郵送を委託できる(サービスによる。追加課金あり)。
良い点ばかり書いてますが、これだけメリットが享受できる一方でコストがかかる点が気になるところだと思います。
そのため、スモールビジネスの経営者という観点からは、自分の仕事時間を削って請求業務を行うことが損であると判断したタイミングで導入すべきと思います。
クラウド請求書サービス
クラウド請求書サービスは、①会計ソフトに付属したタイプと②決済サービスに付属したタイプ、③独立したサービスに分類されます。
マネーフォワードもfreeeも会計ソフトに請求書ソフトがセットになっているので、こちらを利用するのが簡単かもしれません。一方で、顧客にクレジットカード決済を提供する場合には、決済サービスに付属した請求書サービスを利用することが効率的です。
- 会計ソフトに付属したタイプ
- マネーフォワード請求書(会計ソフト等とセットで契約)
- freee(会計ソフト内に付属)
- 決済サービスに付属したタイプ
- 独立したタイプ
各サービスの特徴については下記の記事で紹介していますので、こちらもご覧ください。
ポイントは一本化すること
売上の処理方法についてご紹介してきましたが、処理を楽にするうえで最も重要なのは、情報経路をなるべく一本化することです。
情報経路を一本化することによって、確認の手間を省きつつも、取引の網羅性を確保することが容易になります。
今までは、会計ソフト、請求書ソフト(またはエクセル)、通帳がすべて別々になっていましたが、クラウドサービスを利用すれば、すべて会計ソフトに集約できるようになりました。これを利用して、売上や経費の情報をきれいに会計ソフトに連携できるようにフローを設計することが重要になります。
たとえば、クレジットカード決済があるのであれば、会計ソフトの請求書機能を使うのではなく決済サービスの請求書機能を利用したほうが情報を一本化できるといったような具合です。
クラウドサービスは自分の好みの組み合わせで利用することができることが最大の利点だと思いますので、ご自身の環境や好みで効率的な組み合わせを見つけてみてください。
【当事務所のサービスのご紹介】
・税務顧問サービス
フリーランスの方や小規模事業者向けに、決算料ゼロの税務顧問サービスを提供しています。
当事務所の顧問契約プランは、下記のような方を想定しております。
- クラウド会計を導入し、経理を自動化して時間と手間を軽減したいと思っている方
- クラウドサービスなどITに興味があり、積極活用したい方
- 電話に重きを置かない方(メールとチャットが好きな方)
・個別相談サービス(固定額)
90分1コマのミーティングで行う固定額のコンサルティングサービスです。これから起業する場合や確定申告でわからない点がある場合など、比較的平易な内容についてコンサルティングいたします。
・個別相談サービス(事前見積もり、タイムチャージ)
M&A、組織再編、事業承継、相続対策などに関する単発のご相談についてはタイムチャージベースでお引き受けいたします。相談の内容について概要をお聞きして、着手前にお見積りをいたします。