【フリーランス】コワーキングスペースや喫茶店で仕事をしたときの支出は必要経費になるか

コワーキングスペースや喫茶店で仕事をしたときの支出は必要経費になるか

税務上の規定は

通常、個人で事業を行っている場合、事業で得た所得は事業所得という区分で計算されることとなります。

そして、非常に大雑把にいえば、 事業所得は、売上-必要経費-青色申告特別控除額(65万円)という計算式で計算されます。

必要経費とは

必要経費は、下記のように定められており、売上原価と販売費および一般管理費(販管費、いわゆる経費)から構成されます。

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価の他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

所得税法第37条第1項

フリーランスの方は、エンジニア、執筆業、コンサルティング業、士業などに該当すると思いますが、たいていの場合、売上原価は発生しない事業だと思います。そこで、必要経費を考える際には、経費の範囲が問題となります。

経費の範囲とは

先に引用した条文の通り、「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」と定められているのみで、何が必要経費に該当するかについて、明確な判断基準は示されていません。

実務上は、判例や国税不服審判所の裁決例を参考に、 経費が(事業)所得と関連するか否かを判定し、必要経費に該当するかどうかを考えていくことになります。

コワーキングスペースや喫茶店での支出は必要経費になるか

コワーキングスペース代

フリーランスの方は事務所を持たない方も多いかと思います。事務所を持たない場合、事務所を借りる代わりとしてコワーキングスペースを利用したと考えられますので、必要経費に算入できると考えられます。

ただし、通常の事務所の賃貸と違い、勘定科目は「地代家賃」ではなく「会議費」または「支払手数料」になるかと思います。

また、コワーキングスペースに付属している時間貸しの会議室を利用した場合にも、「会議費」として必要経費に算入できるものと考えられます。

喫茶店代

事務所を持たない場合、喫茶店代も事務所を借りる代わりの作業スペース代として必要経費に算入できるものと考えます。勘定科目は「会議費」が適切かと思います。

コワーキングスペース代と異なり、喫茶店の場合には少し注意が必要です。それは、代金に食事代が含まれているかどうかです。飲み物代だけであれば、税務調査の際に指摘は受けないものと考えられますが、食事代が含まれている場合には、「一人で食事した代金=プライベートの支出」であるとして、必要経費として認められない可能性があります。そのため、喫茶店で仕事をする場合には、レシートに食事代が含まれないようにしてください。

ちなみに、取引先や顧客とミーティングがてら食事をした場合には「会議費」、親睦を深めるための食事会・飲み会を行った場合には「接待交際費」として必要経費にになります。その場合には、レシート等に先方の会社名と氏名をメモしておいてください。

経費として認められやすいのはコワーキングスペース

コワーキングスペースと喫茶店どちらが経費として認められやすいかといえば、もちろんコワーキングスペースだろうと思います。賃貸借契約ではないとはいえ、コワーキングスペースの所在地を事務所の住所として利用できる等、事務所を借りているのと同様の効果をもたらすことができるわけですから、まさに事業上の支出といえると思います。

一方で喫茶店は、プライベートの利用と区別がつきにくい面があります。喫茶店はプライベートでも利用できるわけですから、必然的に疑われやすいといえます。心配であれば、何の作業をしたとか、何の仕事のためであるとかそういった詳細をレシートの裏に簡単にメモ書きしておくと良いかもしれません。

必要経費になるかどうかは、支出の種類ではなく、事業と支出との関係で決まる

必要経費に該当するかどうかは、それがどんな支出かという性格よりも、その支出が事業にとって必要であるのか、関連性があるのかといった点が決まるように思います。

そのため、当然ですが、営む事業の種類によって、ある支出が必要経費に該当するかどうかは変わってくることになります。

必要経費に該当するかどうか迷われる場合には、ひとまず仮払金とでも仕訳しておいて、領収書を脇によけておき、書籍やインターネットで調べて処理するか、顧問税理士に見解を聞いてみてください。


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