【フリーランス】帳簿の現金勘定を廃止して効率的に帳簿をつけよう

帳簿の現金勘定を廃止して効率的に帳簿をつけよう

「現金」勘定は面倒の宝庫

帳簿の「現金」は、レジのお金

開業時に最もよくある間違いが、会計ソフトの開始残高の「現金」勘定に自分の財布の中の現金残高を入力することです。

事業所得や不動産所得の帳簿の「現金」は事業上の現金です。イメージとしては、お店の「レジのお金」です。自分の財布の中のお金を「レジのお金」のように扱って帳簿上に計上するのはおかしいわけです。

小売業や飲食業でなければ、通常、現金勘定は使用しません。預金勘定だけで事足ります

現金勘定を使うと何が起こるか

現金を帳簿上に反映するとなると、すべての現金の動きを帳簿に入力することになります。したがって、財布の中身を帳簿に入力しようとする場合、お小遣い帳のようにすべての増加減少を記録しなければなりません。

そうすると、たとえば飲み会の割り勘の支払いやコンビニでちょっとお菓子を買ったときの支出などなど、プライベートの支出もすべて管理することになります。事業の経費ではないので、帳簿につけても何の得にもなりませんから、こんなもの帳簿にすべてつけるのは無駄です。

また、現金勘定の残高を財布の中身と合わせる必要があるため、現金実査をする必要があります。差異が生じた場合には、原因を分析をする必要があります。

そのため、12月31日営業終了時点で財布の残高をカウントして、帳簿とあっているかを確認し、差異があれば未記帳の取引を帳簿に反映させることとなります。

小売業や飲食業を除いて、現金勘定は使わない

一定の業種以外は、現金はそもそも計上するべきものではなく、計上したとしても面倒しかないため、現金勘定を使うべきではないと考えています。

その代わり、自分の財布から経費を支払った場合は、事業主勘定を利用してください。

事業主勘定とは

事業主勘定とは、簡単に言えば、事業主のプライベートの財布との取引に使う勘定です。

事業主勘定は、事業主貸(資産)と事業主借(負債)の2種類があります。

一応違いについて解説しますが、正直に言えば、どちらの勘定を使っても最終的に税金の金額や翌年の帳簿に影響がないのでどうでもいいです。おそらく事業主貸のほうが大きくなると思うので、わからなければ、事業主貸で統一してしまってもいいと思います。

事業主貸

事業主貸は、プライベートの財布にお金が入るときや、 事業用資金から経費にならない支出を出した場合に使います。事業からプライベートへ貸しがあると考えてください。

たとえば、事業用の預金から生活資金を下ろした時や、社会保険料など経費にならない支払いなどが考えられます。

仕訳サンプル
・事業用預金から生活資金を下ろす場合
(事業主貸) XXX 円 / (普通預金) XXX 円

・事業用預金から社会保険料を支払う場合
(事業主貸) XXX 円 / (普通預金) XXX 円

事業主借

事業主借は、プライベートの財布からお金を出した時や、事業用資金に事業の売上にならない収入が入ったときに使います。事業がプライベートから借りがあると考えてください。

たとえば、プライベートの財布(Suica)から取引先への交通費を支払った時や、還付所得税が入金されたときが考えられます。

仕訳サンプル
・プライベートの財布から経費を支払った場合
(旅費交通費) XXX 円 / (事業主借) XXX 円

・還付所得税が入金された場合
(普通預金) XXX 円 / (事業主借) XXX 円

正しく帳簿をつける必要はあるが、無駄な取引を記帳する必要はない

たまにマメな方がプライベートの支出まで帳簿に記帳して、プライベートと事業のすべての残高を合わせにいっている方がいらっしゃいます。

たしかに取引の網羅性を確認するという点では非常に優れた方法だと思いますが、売上が入金される口座を1つに絞り、経費を忘れず毎月マメに記帳すれば、網羅性は担保できるはずです。

より大きな視点でいえば税務調査で疑義が生じなければいいわけで、そういう観点からは売上が漏れていなければいいのです。経費がどこから出ているかとかプライベート口座の残高がどうだとかは、彼らにとってどうでもいいわけです。

どうでもいいことに時間や手間をかけるよりは、経理処理などつまらないことは最小限の時間で終わらせて、事業にかける時間を確保したほうがよいでしょう。

業務の効率化はこういった小さいことの積み重ねだと思います。日々、無駄なことに時間を使わないようにすればどうすればよいか、考えて工夫していくことが肝要かと思います。


【当事務所のサービスのご紹介】

税務顧問サービス
フリーランスの方や小規模事業者向けに、決算料ゼロの税務顧問サービスを提供しています。
当事務所の顧問契約プランは、下記のような方を想定しております。

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  2. クラウドサービスなどITに興味があり、積極活用したい方
  3. 電話に重きを置かない方(メールとチャットが好きな方)

個別相談サービス(固定額)
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