【給与所得者向け】非居住者の確定申告で気を付けるべき3つのポイントとは

非居住者の確定申告で気を付けるべき3つのポイントとは

海外に居住することとなったら、原則として日本の非居住者となる

日本で暮らしていた方が海外転勤や海外移住を行った場合、海外転出後は、原則として非居住者として取り扱われます。

ここでは、非居住者となる方の確定申告について、気を付けるべきポイントを説明いたします。

ポイント1:納税管理人の選任

非居住者は、日本で納税手続きを行う際、納税管理人を通して行う必要があります

非居住者は海外にいるため、日本の税務手続や納税手続を行うことが難しいことが想定されます。そのため、国内にいる人を納税管理人に選任し、納税管理人が非居住者に代わって申告書の提出や納税を行うように求められています。

①タイミング

納税管理人の選任のタイミングは、通常、出国前です。出国前に納税管理人を選任し届出をしておかないと、出国日までに準確定申告を行うこととなります。

出国前に納税管理人を選任しておけば、通常通り翌年3月15日までに申告・納税を行うことで済みます。

②納税管理人になれる人

納税管理人は、国内の個人・法人の誰でも大丈夫です。通常は、家族か税理士に依頼することとなります。

また、納税管理人は、非居住者の人の手続を行うだけです。したがって、たとえば非居住者の方が税金を滞納したりしても、これに関して責任を負うことはありません。

国税庁HP:所得税・消費税の納税管理人の届出手続

ポイント2:非居住者が課税される所得の範囲

非居住者が日本で課税される範囲は、国内源泉所得の範囲に限られています。(日本と転出先の国との間で租税条約があれば、その条約も考慮する必要あり)

国外転出するまでは、居住者として個人に帰属する全世界所得に課税が行われていましたが、非居住者となった後は国内源泉所得(日本国内で発生した所得として定義されたもの)にのみ課税されることとなります。

簡単に言えば、日本で発生した所得にのみ課税されるわけなので、海外で勤務するサラリーマン(従業員)の給与は基本的には日本で課税されず現地で課税されます。

しかし、日本に不動産を持っており他人に貸して賃料収入がある場合や、日本で太陽光発電設備を持っており売電収入がある場合などは、日本で課税が発生し日本で確定申告が必要となります。

その場合には、国内源泉所得について確定申告書を作成し、納税管理人を通して申告・納税する必要があります。

ポイント3:非居住者が適用できる所得控除の範囲

非居住者は、ほとんどの所得控除を適用できません。

非居住者になった後は、たとえば、医療費控除、社会保険料控除、小規模共済等控除、生命保険料控除、配偶者控除などを適用できません

ほとんどの人にとって適用可能なのは、雑損控除、寄付金控除、基礎控除のみです。

雑損控除を適用できる方はほとんどいませんし、海外から寄附やふるさと納税をする人も少ないでしょうから、実質的に適用可能なものは基礎控除のみとなります。

つまり、所得控除はほぼありませんので、確定申告の際にはよくよくお気をつけ下さい。

おわりに

非居住者に該当するかどうかは、個人の実態で判断することになります。たとえば住民票を抜いて国外転出手続きをした場合でも、事情によっては必ずしも日本の非居住者となるわけではありません。

税務上の非居住者に該当するかどうかについては、個人の状況により判断が難しい場合がありますので、国際税務の専門家までご相談ください。

また、納税管理人や非居住者の確定申告、租税条約に関するご相談についてもお請けしておりますので、当事務所までご相談ください。


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