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【士業】士業は領収書に印紙を添付する必要はない?

士業は領収書に印紙を添付する必要はない?

原則として領収書には印紙を貼る必要あり

印紙税の課税対象は?

印紙を貼る必要があるのは、印紙税法上の課税文書に限られています。この課税文書とは、次に掲げる3要件すべてに該当するものをいいます。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

国税庁HP No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

課税物件表に掲げられる文章等は、不動産譲渡契約書や金銭消費貸借契約書、請負契約書、定款など様々なものがあります。

領収書には印紙を貼るべき。ただし5万円未満は免除

領収書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当します (印紙税法別表1第17号の1) 。

領収書に記載された金額が5万円未満の場合は非課税となります。5万円以上の場合、金額により、印紙税の金額がそれぞれ決まっています。

5万円未満
5万円以上100万円以下
100万円を超え200万円以下
200万円を超え300万円以下
300万円を超え500万円以下
500万円を超え1千万円以下
1千万円を超え2千万円以下
2千万円を超え3千万円以下
3千万円を超え5千万円以下
(以降省略)


200円
400円
600円
1,000円
2,000円
4,000円
6,000円
10,000円

なお、消費税額等が区分記載されている場合には、税抜金額で判定を行います(平元.3.10付間消3-2)

例外として営業に関しないものについては非課税

士業の発行する領収書は「営業に関しないもの」に該当

個人が発行する領収書については、商法上の「商人」としての行為は営業に該当し印紙税法上の課税文書に該当すると解されています。

国税庁HP:No.7125 営業に関しない受取書

しかしながら、医師や弁護士などの士業の行為は商行為に該当せず、商人に該当しません。そのため、医師や弁護士などが発行する領収書は営業に関しないものに該当し、印紙税は非課税となります。

印紙税が非課税となる士業で、通達上で明記されている資格は下記のとおりです。

医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う。

印紙税法基本通達別表第1第17号文章の25

弁護士、弁理士、公認会計士、計理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う。

印紙税法基本通達別表第1第17号文章の26

国税庁HP:営業の意義

医療法人や弁護士法人など士業法人は取り扱いが別

士業法人が行う行為についても商法上の商行為に該当しないと解されていますが、印紙税法上では異なる定めが置かれているため注意が必要です。

会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることになっている場合で、出資者以外の者に対して行う事業については、印紙税の課税対象となります(印紙税法別表第1第17号文章非課税物件欄2かっこ書き)。

したがって、会社以外で、出資者に対する分配が禁止されていない法人組織の場合は、商行為を行わない場合であっても、印紙税が課税になります。

たとえば、弁護士法人 、司法書士法人 、監査法人、税理士法人など、出資者に対する利益(剰余金)の配当又は分配が禁止されていないため、印紙税は課税となります。なお、これら法人の定款において、配当を禁止する旨を定めたとしても、法令の規定により配当をすることができる旨が定められている場合、印紙税は課税となります。

国税庁HP:質疑応答事例 監査法人が作成する受取書

国税庁HP:質疑応答事例 税理士法人が作成する受取書

一方で、医療法人は公益を目的として設立される法人であり、利益(剰余金)の配当又は分配が禁止されているため、医療法人の領収書は営業に関しない受取書となり、印紙税は非課税となります。

営利法人組織の病院等又は営利法人の経営する病院等が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当しない。
なお、医療法(昭和23年法律第205号)第39条に規定する医療法人が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当する。

印紙税法基本通達別表第1第17号文章の27

おわりに

商行為を行わないとされる士業個人の場合には、領収書に印紙の貼付は必要ありません。一方で、士業法人の場合には、配当等が禁止された法人でなければ、領収書に印紙の貼付が必要になります。

領収書については上記のように定められていますが、例えば業務契約書を締結する場合など、別の課税文書については別の定めがありますので、十分にご注意ください。


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